【No.081】スラムドッグ$ミリオネア

イリー・K

2009年07月16日 21:30


↑チラシをクリックすると本作のサイトへジャンプします。

’08/イギリス/カラー/120分
監督:ダニー・ボイル
出演:デーヴ・パテール、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピントー、アニル・カプール



オリジナルの企画が底をつき、国内はおろか、海外映画のリメイクに頼っているといわれて久しくなったハリウッドから、ここに最も嘆きたくなる映画が日本にお目見えとなる。それは『ハチ公物語』のリメイク。
ホラー(『呪怨』)やらダンス(『Shell we ダンス?』)やらとやって、とうとう一匹の犬に頼るまでになったか。

かねがね噂では聞いてはいたが、その予告編というのを『劔岳 点の記』の上映前に観てしまった。
「マ、マジかぁ〜。」
妙な胸騒ぎを抑えずにはいられなかった。

主演はハリウッドきっての日本びいき、リチャード・ギア。監督はこともあろうに『ギルバートグレイプ』のラッセ・ハルストレム。日本では『HACHI〜約束の犬〜』というタイトルでの公開である。

予告編が始まるや否やリチャード・ギアの「ハチぃ〜」に拍子抜け。舞台や時代設定は変えても名前は変えないのか。「ハチ」なんてネイティブの発音としては無理があるような気がするが。おそらく本家の制作会社である松竹は譲らなかったのだろう。そんな違和感がある「ハチぃ〜」をたくさん耳にする予告編でバックに流れる主題歌を歌うのは青山テルマ。もう勘弁してほしいよ松竹。

そもそも動物や子供で泣かそうとするほどあざといものはない。それにハチ公にまつわる美談というのは見方を変えれば相当マヌケになる話をまさかハリウッドが欲しがるとは。ラッシーやベンジーがいるというのに。まさか『マリリンに遭いたい』も視野にいれてるんじゃあるまいな。もしそれが事実だとしたらホントおしまいだよ。

いつまでも嘆いてばかりはいられない。今日ご紹介する映画は『スラムドッグ$ミリオネア』。アカデミー賞をはじめとする世界中の映画賞を総ナメにし、監督は浮かれに浮かれたのか、主演を務めた現地(インド)の少年に家一軒を大盤振る舞いしたとかしなかったとか。

もう説明するまでもないがタイトルにある「ミリオネア」とは「クイズ$ミリオネア」のこと。元はイギリスで「who wants to be a millionaire?(億万長者になりたいですか?)」というタイトルで始まり、人気をはくして世界中に制作権を売り飛ばすまでになった。
挑戦者には15問の4択問題が用意され、正解するごとに難易度と賞金が跳ね上がるシステムで日本版ではみのもんたの司会で有名である。

どうです。この「ミリオネア」における博識ぶり。そう、私好きでほぼ毎回見てたんです。恥をしのんでもっと言っちゃえば録画保存してるビデオは20本以上を数える。ちなみにあれ最高賞金である1千万(日本版)は法的な決まりに乗っ取って5人に分配される。挑戦者は1人のように見えるが、実はテレフォンの4人を合わせて5人で挑戦している。で、1千万獲得したら挑戦者らに渡るのは税が引かれて924万・・・もういいですかそんなもんは。

まぁ、結局は番組好きの延長で観たのが本音の本作。映画で描かれてることなので多少の誇張はあるだろうが、同じ番組でも国が違うだけで見方がだいぶ変わる点が興味深かった。あと、悲観論者の私としては最後はちょっといただけないな。「わらしべ長者」みたいになっちゃうのはどうもねぇ。





ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。

関連記事