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2015年08月03日

【No.174】ターミネーター:新起動/ジェニシス

【No.174】ターミネーター:新起動/ジェニシス

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’15/アメリカ/125分/カラー
監督:アラン・テイラー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー ジェイソン・クラーク エミリア・クラーク ジェイ・コートニー

 「覆水盆に返らず」というのをわかっとらんのかねぇ、本作に関わった人たちは。挽回を計ろうと作られたシリーズ第5弾『ターミネーター:新起動/ジェニシス』である。

 名作と誉れ高い『T1』、そして特に『T2』が残したハードルの高さゆえか、伝え聞くところに寄ればその後の『T3』『T4』は巷の平均的な評価は芳しく無いものであった。でも作る前からそんなことはわかりきった上でのあの出来は、案の定な結果であれ充分に健闘していたと私は思っていた。いかに「審判の日」を食い止めるかが前提であったのが覆された点に大きな不満があるのかもしれないが、タツノコプロ的な仕掛けが満載のT-Xが見てて妙に楽しかった『T3』やシリーズで唯一「審判の日」以降の世界が舞台の『T4』はT-800(シュワルツェネッガー型)へ発達以前のマシーンがわんさか出てきて、その他アクションシーン諸々両作には見どころがあって面白かったのに世間はあまりに冷たすぎる。それこそ点数が振るわない出場者の加点を乞う「仮装大賞」の欽ちゃんのように「褒めてやってよ〜」と再評価を願うぐらい擁護派の立場を取ってきたのである。

 そして今度の『Tジェニ』、観たあと思わず「オレのターミネーターを返して〜!」と叫びたくなった。本作で『T3』『T4』の失敗を受けて計った挽回策は設定上それらをスルーするどころか『T1』と『T2』で辿ってきた道程を軌道修正しま〜す、と仕切り直しをしたのである。『T1』『T2』で興奮し、不評とされる『T3』『T4』を擁護した私の立場はどこへ。責任者出てこい!仕切り直しに伴い、過去4作には無かった新しい要素が加えられているのだが、言うなれば後付けである。いや、ターミネーターに限らずヒットシリーズというのはそれが常であり、一度当たってしまったら、続編作るにあたって避けては通れないものだが、こりゃもう後付けコンボ。「そこまでやっちゃったら何でもアリじゃん」というレベルである。

 知事在職中のため不在であった『T4』を経て、本作でシリーズ復帰を果たしたシュワルツェネッガー(長いんで以降はシュワ氏で統一)。制作発表されたときからあったひとつの大きな懸念は、60(歳)も半ばを過ぎたシュワ氏に果たして勤まるのかということであった。老年に差し掛かる保安官を演じた復帰第一作『ラストスタンド』なんかはドンピシャで、かつての片鱗を覗かせつつ年食ったせいかどことなく鈍重なアクションがマッチしていて「年相応」というのをきちんとわきまえているかに見えていたが、キレッキレの全盛期を取り戻すのは難しいのではないのか。そこで『Tジェニ』は後付けを用意したんですねぇ。それは「T-800も年を取る」というものである。経年劣化というやつですか?そりゃ機械なんだから徐々に性能は低下していくが、コーティングしている皮膚や毛髪などの見た目も人間と同じように老けていくんだって。これでロマンスグレーのターミネーターの誕生である(なぜ年を取っているのかについては伏せておく)。おまけに長年“稼働”していると人間には柔和になっていくのかある人物からは親しみを込めて「おじさん」と呼ばれていた。もともとは戦闘用の殺人マシーンだったんだよね。見たいか?そんなターミネーター。でもこれは数ある後付けのなかでもほんの序の口。最後にはあっと驚く後付けが待っている。

 劇中では「体は古いがポンコツじゃないぜ」というセリフが度々登場するのだが言うまでもなくこれは老いてなお盛んなシュワ氏のアクション俳優続投を示唆している。「やっぱシュワちゃんがいないと成立しないね」と復帰に喜ぶ声がある一方で、それがかえってシリーズの混迷に拍車をかけるのではと思えてならない。「生涯現役」を持ち続けるのをやめろと言うつもりは無いが、せめて築き上げてきた「ターミネーター」を自らねじ曲げるのは勘弁してほしい。

 今後もこの『Tジェニ』を含めた「新3部作」として制作待機中とのこと。ここまでムチャクチャにしてこれ以上どうするつもりなのか。もう出てしまった以上後戻りはできない。私のように落胆する人が増えていくんだろうか。つらいものを始めてしまった。


【No.174】ターミネーター:新起動/ジェニシス
評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。




Posted by イリー・K at 22:34│Comments(0)【た】
 
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