【No.040】ヅラ刑事
●12月30日鑑賞
’06/日本/カラー/80分
監督:河崎実 企画:叶井俊太郎
出演:モト冬樹、イジリー岡田、なべやかん、ウガンダ・トラ、中野英雄
観ちゃったよ『ヅラ刑事』。
40回目という節目にふさわしい作品の登場である。監督は以前『日本以外全部沈没』の回で私が唱えた「クズ映画」の雄、河崎実。
今回も冒頭から結末まで例の酷さでトバしまくっていた。某刑事ドラマを思わせるオープニングタイトル。乱立するビル群にネオン瞬く大都会。それをバックに一人佇み、正面に振り返るヅラ刑事。そこで流れる主題歌は「悲しみはヅラで飛ばせ」(作詞・河崎実、唄うはもちろん主演のモト冬樹)。「某刑事ドラマを真似る」というクリエイティビティを放棄したマイナー行為と、主題歌の安っぽいメロディラインが妙にマッチングし、私は結構ハマってしまった。おまけに劇中でも何の前触れもなく同じ主題歌で「カラオケバージョン」てのもやっていた(前作『日本以外全部沈没』もそうだったが河崎監督はどうやら劇中で映画の内容をふまえた自作の歌詞の曲を流す「コーナー」を挿入するのが好きらしい)。同じ主題歌を2度流すもんだから、「CD買ってまた聴こうかな。」と少しだけ心が揺れ動いたもんだが、1980円(税込)という高値の前ではさすがに手が出ませんでした。
内容はといえば、まぁ呆れることはなはだしい。呆れすぎて不覚にも笑ってしまった。まさに?呆笑(ほうしょう)?という言葉にふさわしい(そんな熟語は存在しません)。
「チビ刑事」「デブ刑事」「デカチン刑事」と中学生レベルの発想としか思えないキャラ設定、ストーリー展開の粗さ、出演者のわかりやすい芝居、ベタすぎて「今まで見た?ベタ?って何?」とふと考えてしまうほどのギャグ。どれをとっても「よくやるよ」の一言に尽きる。これで1時間20分というコンパクトな時間に収まったのが唯一の救いか。屈折した鑑賞法ではあるが、これらの要素を逆に面白がる。これが本作の楽しみ方のひとつなのかもしれない。
そんな事より私が注目したのは本作の主役?ヅラ刑事?のキャスティングである。まず真っ先に浮かぶのは竹中直人だろうが、『Shall we ダンス?』のカツラの印象がチラついてキャラとして当たり前すぎる。高橋克実や温水洋一でも何だかしっくりこない。そこで意表を突いてモト冬樹という人選は限りなく正解に近いと思う。それにモト冬樹という人は時々バラエティ番組で共演者から頭髪の事をイジられると「オレは違う」然とした態度で「非ハゲキャラ」をアピールしていたタレントであると私は記憶する。そして今回のヅラ刑事役で自ら「モト冬樹=ハゲ」を解禁させた。これで彼を語るキーワード「ビジーフォーのメンバー」「エド山口の弟」「50(歳)過ぎでいまだ独身」に「ハゲ」が加わり、これで名実ともに立派なハゲキャラとなった事を私は大変喜ばしく思う(少しうそ)。
ヅラ刑事にモト冬樹は適役だが、個人的には芸能界にはびこる?怪しい?芸能人にやってもらいたかった。どこからどう見ても「あっ、被ってる」っていう人。どんなに内容が酷くてもこれだけで話題性は充分。皆さんの中にもそれぞれ頭の不自然な生え際に疑惑をかけたくなる有名人というのはおありだろう。その人が凶悪な核テロリストの前に颯爽と現れ、取るはずがないカツラをいきなり敵に投げつけて倒す画を想像してみるといい。心躍らずにはいられないではないか。これならメガトン級のヒットは間違いなかっただろう。今度パート2を製作するなら、是非とも実現してもらいたいものだがいかがだろうか。
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
関連記事