2014年01月02日
【No.147】31年目の夫婦げんか

↑イラストをクリックすると本作のサイトへジャンプします。
’12/アメリカ/カラー /100分
監督:デビッド・フランケル
出演:メリル・ストリープ トミー・リー・ジョーンズ スティーヴ・カレル
まず、タイトルがミスマッチであることを指摘しておきたい。私はてっきり『ローズ家の戦争』(‘90)を連想してしまって、アクションもこなすトミー・リー・ジョーンズがメリル・ストリープにどんな肉弾戦を仕掛けてくるかソワソワしてたのにフタを開けてみるとそんな内容では全くなく、ファーストシーンから露出度が高い寝間着に着替えたメリル・ストリープ(イラスト参照)が就寝前の読書に耽っているジョーンズに暗に色仕掛けをするという肉弾戦よりある意味えげつないものを見せられる。これは育てた息子を社会へ送り出し、“夜のおつとめ”がめっきり減った熟年夫婦が抱えるいわゆるセックスレス問題にそれぞれどう向き合うかというお話しなのである。よくワイドショーなどの「3面記事コーナー」でよく取り上げられる「夫婦でのセックスが多い国ランキング」で欧米が上位で日本は相変わらず下位にいるのをああだこうだとやっいるのを見かけるが、アメリカが上位にいられる起因の一端を見ることができる。
そういえば以前紹介したピンク映画『変態SEXカウンセラー えぐり療法』と本作は熟年夫婦であるところ以外、基本的なところはおおよそ似ている。片や知る人しか知らないピンク専属俳優&女優主演の映画、片やハリウッドの2大スター共演のメジャー作品。作品の規模、国や人種は違えど「セックスレス」は人類の永遠不変のテーマのようである。しかし、比較するのがあまりに違い過ぎてて見方も乱暴気味ではあるが新婚ホヤホヤは除いて夫婦におけるセックス観というのが垣間見えるようで少しだけ興味をそそられる。
『変態SEXカウンセラー〜』はピンク映画ということもあってか妻が夫にセックスを要求するのは、抑えがたい性欲に押され快楽を求める姿が前面に描かれているが、一方『31年目〜』の妻は少々事情が異なる。こちらは快楽や上手い下手云々よりも自身がどれほど性的魅力として求められているか、それによって妻としての存在意義を確かめようとしているのである。いや、確かに『変態SEXカウンセラー〜』にもその側面はありはするが比重がまったく違う。ちょっと困惑した表情で「今日はちょっと・・・」とやんわり断るジョーンズにきびすを返してしょんぼりと洗面台の鏡へ向かうメリルに笑いを禁じ得ないが、欧米のご婦人方には正視できない人は多いのだろう。いや、日本人にもいるかもしれんが。
少なくとも本作を通じて感じるのは夫婦愛をセックスで計ろうというのは夫婦生活を営むことにおいては不可欠ではあるかもしれないがこれを第一に考えているアメリカ人というのはやっぱり“わかりやすい”国民であるのだなぁということだ。何事にもリアクションがデカいし。いにしえの暮らしを見ても、寒さをしのぐのに囲炉裏で手先を暖めて暖を取っていた日本に対し、欧米なんか暖炉で部屋中を暖めてたんだから。果たしてこれが例えとしてわかりやすいのか自分でも疑うが。
あと、どちらの作品にも出てくるカウンセラーの立ち位置というのもセックスが大事であるかが如実に現れている。『変態SEXカウンセラー〜』はカウンセラー(女優が演じている)自身も相談者夫婦の問題に“体を張って”参加するというとんでもない方向へいくので参考にはしずらいが、『31年目〜』のカウンセラー(スティーブ・カレル)はやたらと上から目線でカウンセリングをする。連れてこられたジョーンズはもちろんキレる連続であるが、やがて妻に対して行ったことを省みるようになり、妻にすり寄って行く。劇中でカウンセラーの思うつぼになったかどうかはさておき、日本に比べて本やビデオなんか出してけっこう威張り腐ってるのを見ると、その需要の高さからいかにセックスが重要かがよくわかる。
冷めきった夫婦関係の改善がセックス回数の増加につながるという考え方がどちらかというと希薄な日本人はセックスに興味が無いというよりハナからあきらめている風潮が強いように思える。そうでないと綾小路きみまろがあれほどブレイクするはずが無かったわけだし。しかしこれだけ「セックス」を連呼する記事を書くとはおもわなんだ。ブログ停止にならないことを祈る。

評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 15:53│Comments(0)
│【さ】