2013年09月09日
【No.138】モンスター('13)

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’13/日本/カラー /114分
監督:大九明子
出演:高岡早紀 加藤雅也 村上淳 大杉漣 遠藤要 森下能幸
高岡早紀、脱ぎ損。「20年ぶりのヌード」と一部で話題になった『モンスター』を観たんだが、とりあえずはおつかれさまと労をねぎらってあげたい。
生まれつきあまりに醜い容姿から忌み嫌われ続けたあげく田舎から追い出されて上京した女(高岡)が美容整形にハマって見違えるほどの美女に変身を遂げて田舎に帰ってくる。かつて己を虐げた人たちの前に舞い戻ってきた女の目的とは・・・。
百田尚樹のベストセラー小説を映画化した本作は、整形前の醜いフリークス系の顔をメーキャップで臨み、女子高生時代から現在までの主人公を文字どおり体当たりで演じきった高岡に、加藤雅也、村上淳、大杉蓮と映画としては無難なキャスティングで脇を固めているのだが、なんとまぁ押しなべて中身のペラいことよ。
この映画が描く方向性が一言で言えば幼稚になっている。基本的に登場人物はルックスがとてつもないブサイク(高岡)とあとは見栄えがいい男女ばかりでどっちつかずな人はあまり出てこない(大杉蓮や両親役の人など中年層は除く)。で、主人公の理解者寄りの加藤雅也や村上淳を除いて敵対する周辺人物たちは見た目の美醜だけで全人格を判断するような現実世界にいたら信じがたい人ばかりである。こんな人物たちで構成されたストーリーなんて、いまどき大映ドラマでも真似しないだろう。
あと、登場するセットや小道具の安易さ。主人公の部屋だったか、美容室かどっかに置かれていた女性週刊誌の名前が「週刊エイト」には笑ったが、笑うに笑えないのは大杉蓮が院長を務める整形外科の内部である。綿密なリサーチなしの「美容整形外科」のイメージのみで作り上げた雰囲気が濃厚に漂っている。白を基調として窓からは陽光が差し込み観葉植物が飾られていて、デスクには頭蓋骨の模型が。ここにポコポコとドライアイスの煙りが出ている試験管を置こうものならコントのセットに早変わりしそうな部屋である。
高岡のあのメイクにしたって、確かに賞賛に値する奮闘ぶりだが、2時間かかっている代物とはいえ、かなしいかな我々は高岡早紀の顔を知っているわけで、そこはどうしたって「メイク」然が出てしまうのは否めない。老け顔ならまだしもあまり類がないフリークス系だとそれは一層顕著だ。
ベストセラーの映画化でメーキャップや濡れ場も厭わない話題性(本業においてというより一部で報じられている私生活において)のある主演女優に無難なキャスティング。そこで満足しちゃってあとはおざなりになっている印象を抱きかねない。
いろいろ難癖をつけてきたが、最後にやはり触れざるを得ないのは高岡早紀のおっぱい問題だろう。劇中での主人公の美容整形に対するハマりようは凄まじく、顔面整形はシンメトリーを敢えて崩す徹底ぶりでバストにも整形を施している。ということはおっぱいはニセモノ(天然ではない)ということになる。しかし、これもかなしいかな我々は高岡早紀のおっぱいも知っているのである。20年前、映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』や写真集「one two three」で見せつけたおっぱいはそれはそれは立派なものであった。そして20年ぶりの御開帳となったわけだが、飽きるほど見ていた愛好家の私が見る限りでは、どうもあれはホンモノなのかあやしいものがある。さすがに20年は経っているのでサイズダウンはしているものの、垂れもせずきれいな形のまま留まっている。しかし、乳輪の色といい大きさといいどうも違って見える。そして私が抱いた疑惑をさらに深めたのは偽パイの典型である「仰向けで横になっても崩れない」があったのである。まさかおっぱいにまでメーキャップしているのではあるまいな。あくまで愛好家としての所見なのであのおっぱいが本物かどうかは定かではない。結局は映画が見せたいものと高岡早紀の女優魂がうまいこと合致しない残念な一作になってしまった。

評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 01:29│Comments(0)
│【も】