2012年02月29日
【No.113】マイウェイ 12,000キロの真実

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’11/韓国/カラー /145分
脚本・監督:カン・ジェギュ
出演:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン
続いてますねぇK-POPブーム。本当に続いてるんでしょうか。いくらテレビの向こう側で言われていることだからと承知ではあっても、あそこまで持ち上げられると、さすがに違和感を禁じ得ないのは私だけなのか。これにより発生する利害関係諸々があるのかどうかは知らないが、とりあえずフジテレビは韓流かぶれと言われても仕方ないと思う。K-POPにことさら興味は無く、テレビはあまり見ない私でもあれはあこぎに見える。某音楽番組では、現地で人気絶頂(と言われている)グループが緊急来日!と喧伝していた。「緊急来日」させるほど、こっち(視聴者)は頼んでいないだろうに。食べても食べても足りないエサ(新規の韓流グループ)を待つひなどりとでも思ってるんだろうか。さらには見通したことが無い「ベストハウス123」をたまたま見ていたら、番組の最後に番組の専属バンド(ピストルバルブ)が韓流グループと共演と言い出したんで即座にテレビの電源をオフにした。
とまぁ、はじめのうちはただ「ふ〜ん」ってな感慨で眺めていたのが、あまりの過熱ぶりに由々しき事態がテレビの向こう側では起こっている。なんだか実態がよくつかめないこれらK-POPならびに韓流ブーム。ことの始まりは21世紀に股がる頃の韓国映画ブームまでさかのぼるだろう。
その口火を切ったアクション映画『シュリ』は、大胆な性描写が売りだった『桑の葉』や怪獣映画『プルガサリ』(これは北朝鮮製作だが)ぐらいしか認識無かった日本に、邦画にも勝るであろう韓国映画が持つ実力を見せつけられ、以後数々の韓国映画を流入させるきっかけを作った映画である。そのメガホンを執ったカン・ジェギュ監督が7年ぶりに放った新作が『マイ・ウェイ 12,000キロの真実』。寡作なわりに「戦争」が背景になっているものばかり撮っているこの人は、今回も例に漏れず「戦争」である。第二次大戦下の1944年に繰り広げられたノルマンディー上陸作戦。このナチスドイツと連合国が相まみえるヨーロッパの激戦地に2人の東洋人がいたというにわかに信じがたいエピソードを、それまでに至る経緯も含めて描かれた大作になっている。
第二次大戦モノには目がない私は当然スクリーンに飛びついたのであるが、鑑賞前にひとつ気がかりなことがあった。それは劇中の日本軍の描き方である。2人の東洋人というのは、日本人の長谷川(オダギリ・ジョー)と朝鮮人のジュンシク(チャン・ドンゴン)である。幼少時代に日本支配下の朝鮮で出会った2人は、長距離走のライバル関係として成長し、やがて戦争という時代の波にさらされ、ジュンシクは不本意な形で日本軍に徴兵され、長谷川がその上官となるという設定である。35年間日本の統治下にあった歴史的事実から、韓国の感情が直接影響はしていないにしろ、鬼畜な描かれ方をしているかもしれんという覚悟はあった。しかし実際観てみたら許容の範囲外であった。朝鮮人を踏みにじるようなところは百歩譲ってまぁ良いとしよう。しかし成果が振るわなかった責任を取れと命令を受けて長谷川の前任者が切腹を要求されるとは如何なものか。長谷川が読み上げる命令書が巻紙っていうのがもう「偏ってる」というレベルではないと思う。
その他、胸の内にこみ上げてくるツッコミ欲を抑えたくなるような描写は、これら歴史的側面だけでなく、話としても眉唾である。いくら映画としてこしらえた話でも無理がありすぎる。どう無理があるのかはネタバレに繋がるのであんまり言えないが、冒頭にあんなシーン見せられると「まさか」といろいろオチを勘ぐっちゃって、まさかホントに当たっちゃうんだから、何かイヤになっちゃった。
以上のいちゃもんを除けば、私の中での設けている第二次大戦モノの最低基準はクリアしている。「戦争」を題材に撮り続けた監督だけあって、相変わらず戦闘シーンはさすがの迫力である。ただ少し気になったのが犠牲となる仲間が抱きかかえた腕の中で死ぬのがやたら多い。あんなに銃弾が飛び交ってる戦闘中でも撃たれたらチャン・ドンゴンが向かっていくのである。そんなに看取りたいかというくらい。まぁ、戦争映画の定番ではあるのだが。
戦闘シーンと並んで関心したのは、チャン・ドンゴンの日本語が格段にうまくなっていたことだ。完璧とは言わないまでもかなりの上達ぶり。「好きだかだ〜っ!」の記憶が骨の髄まで染み込んでいる日本人にとっては、どこかでしくじるんじゃないかと危惧していたが、そんな心配は無用であった。で、チャン・ドンゴンの日本語を聞いてて思ったのだが、流暢なほどではない韓国人が話す日本語はちょっとかわいらしく聞こえる。イントネーションが「タ行」が強いせいでそう聞こえるのだろうか。

評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 23:00│Comments(0)
│【ま】