2012年01月29日
【No.112】ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

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’11/アメリカ/カラー /132分
監督:ブラッド・バード
出演:トム・クルーズ、ポーラ・パットン、サイモン・ペグ、ジェレミー・レナー
「もう、ハリウッドはネタ切れじゃないのか?」とそう囁かれて随分と久しい。それはもちろんいろいろなリメイクに手を出しているからなわけで、名作とされる映画やテレビドラマ、果ては自国を飛び越えて海外の映画にまで手を伸ばし“刷り直し”が行われている。もう刷り直そうとするものまで尽き始めてるんじゃないかと囁かれる始末。ひょっとしたら、日本のドラマにもリメイクの波が及びはしないか。「家政婦のミタ」とか考えられなくもない。松嶋菜々子はケイト・ブランシェットあたりが妥当かな。ろくに見たことない人がキャスティングしたってしょうがないが。
雨後の筍の如く作られるテレビドラマのリメイク。そのはしりとなったのは私の記憶では『ミッション:インポッシブル』である。それ以前にもあったかもしれないが、この映画の世界的ヒットにより深く記憶に刻み込まれた。「スパイ大作戦」が元だったが、第1作で主要メンバーのほとんどが消え、メンバー各々同じバランスを保ったチームプレイが魅力だったオリジナルの面影は失われ、トム・クルーズの一人舞台である。当然テレビドラマのファンからは非難を浴びながらも気がつけばシリーズ第4弾である。
シリーズ誕生から15年経って、少なくとも私の周りでは待ち望んでいた声がひとつも聞こえないこの最新作(第3弾からすでにその気配はあったが)、最大の当たり役だけあってトム・クルーズ、年甲斐も無い頑張りぶりであった。もう48歳だそうで。役の設定では同年齢かはわからないが、一般社会でいえば部長クラス。シリーズを通してあの大活躍なのにいつまで経っても下っ端みたいな仕事ばかりしているのか。なかなか上役の人が席を空けてくれない窮屈なところなんだろうかスパイ業界は。
とまぁ、何にも考えないで観られるただの娯楽映画に細かい事にああだこうだと難癖つけるのは野暮というものだ。だから作戦チームは荷物が少ない身軽な装備で移動してるのにホテルの給仕に扮装した時に動かしてたワゴンはどこから持ってきたのかとか、ターゲットの人物と殺し屋が落ち合う場所が、よりによってドバイの世界一高いビルなのかとか、他に選択肢がありそうなものなのにビルの外壁から這い登らないといけないのかなどはインパクト重視で面白ければ、そんなものは無用だ。
他にもツッこもうと思えばいくらでもあるが、これだけは言わせて頂きたい。井筒監督も雑誌で吠えていたが、ターゲットの人物に関する調査報告でロシアの核兵器強奪を狙っているとし、「その威力はヒロシマ型の何百倍」と補足するのである。
他でも見られる光景だが、ハリウッド映画ってこういう無神経なことをするのである。核兵器が大規模なアクション映画にはだいたい絡んでくる必須アイテムだというのはわかるが、日本人にとっては特にデリケートなそのフレーズを入れちゃイカンだろう。ナガサキと並んで数少ないサンプルとして指し示すことによって事の重大さを表したいんだろうがどうなんだろうか。
これにも驚いたが『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』で、核兵器実験場に迷い込んだインディが、まさに水爆が落とされるすんでのところで、難を逃れるシーンがあったが、あそこだけは素直に楽しめなかった。放射能というのも今まさにデリケートになってるからなぁ。
観る者が抱えている現実を忘れさせてナンボの娯楽映画。あんなに持ち出されたら、いちいち一瞬立ち止まってしまう。人を楽しませて稼ぐためなら核を出すのも辞さないハリウッドと、それに反応してしまう日本。戦勝国と敗戦国の概念の違いがこんなところにも浮き彫りになっている。

評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 19:02│Comments(0)
│【み】