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2010年03月18日

【No.094】グッド・バッド・ウィアード

【No.094】グッド・バッド・ウィアード
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’08/韓国/カラー/139分
監督・脚本:キム・ジウン
出演:チョン・ウソン、イ・ビョンホン、ソン・ガンホ



 韓国映画史上、最高額の巨費を投じたというこの『グッド・バッド・ウィアード』。いちおう西部劇であるが、公開時、安易にやりそうな「○○ウエスタン」などと大々的に謳わなかったのは賢明であった。公式ホームページかどっかにチョロッと「キムチウエスタン」というのを目にした記憶がないでもないのだが。これはもちろんマカロニウエスタンからの流れを汲んでのもの。本場ハリウッドの西部劇をイタリアが真似たのが定着したものでいわばバッタもんである。これを意識して作るということは、バッタもんのバッタもんということになる。それに加えて発祥はよく知らないが、はしりとされる『荒野の用心棒』などの評判が良くて後にそう「呼ばれる」ようになったであろうに、評判になる前に自ら「名乗る」というこのマヌケの上塗り。だから「スキヤキウエスタン」と名乗った『ジャンゴ』は失敗したのである(個人的には好きな映画。特にエンディングに突如流れるサブちゃんの主題歌の台無し感が秀逸)。それを知ってか知らずか「キムチウエスタン」を最小限に喰い止めたのは良かったが、日本での大ヒットというまでには至らなかった。ムズカシイのね宣伝って。

 1930年代初頭、中国東北部のどこかに埋もれているというあるお宝を巡って、賞金稼ぎ、馬賊の頭(かしら)、泥棒の3者が、日本軍と入り乱れながらも探し求めるというストーリー。「西部劇」のハッキリとした定義は良く知らないが(知らない事だらけで申し訳ないです)、舞台や時代設定が従来と違う点から冒頭での紹介の折り、「いちおう」と付け加えたのはそのせいである。しかしオープニングから、列車内での攻防を入れてくるとは「西部劇」的だ。もちろんガンアクションも出てくるが、兵器が進歩してるから機関銃や装甲車も投入しているから本家に比べて加速している感じである。タイトルにもある「善」にあたるチョン・ウソン(賞金稼ぎ)、「悪」のイ・ビョンホン(馬賊の頭)、「奇人」のソン・ガンホ(泥棒)のキャラクター設定はバランスが保たれている・・・と感想を締めたいところだが、そうしてもほっとけない「悪」のイ・ビョンホン。あんなんだったか?彼。前作だったか『甘い人生』からそれらしき匂いが漂い始めてはいたが、妙なナルシズムが邪魔をしている。いや、常に自分を意識するというのは、欠くことのできない俳優の一要素かもしれないが、彼の場合何をやっても「こんなオレってどう?」と突き付けられてる気がしてならない。目の奥がギラギラしていて、ただならぬ雰囲気を醸し出し、何をしでかすかわからないアブなさを見事に体現してはいるのだが、敵と格闘しても、目にも止まらぬ早さのナイフさばきをしても最後には「こんなことができるオレ」で終わる。実際やっていないけど、カメラ目線だったんじゃと思えてくる。いやぁ、このナルシズムは他の追随を許さない。多分待ち時間とかずっと鏡見てるんじゃなかろうか。たった数年でこんなに印象が激変するものか。デビュー当時に出た『JSA』なんか今見ると別人である。あれはただの田舎の好青年だ。この激変ぶりは長渕剛に通じるものがある。しかし映画の内容云々よりもこんなに書かせてしまうとはつくづく罪な男である。




【No.094】グッド・バッド・ウィアード
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Posted by イリー・K at 06:00│Comments(0)【く】
 
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