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2006年10月19日

【No.004】SPL 狼よ静かに死ね

【No.004】SPL  狼よ静かに死ね

●4月1日鑑賞
’05/香港/93分 
監督:ウィルソン・イップ 
出演:サモ・ハン、ドニー・イェン、ウー・ジン


 80年代にジャッキー・チェン、ユン・ピョウと並んで香港アクション映画を支え続けてきたスター、サモ・ハン・キンポーが帰ってきた!この一文を読んで胸が熱くなった三十代の方は結構いるだろう。『燃えよデブゴン』で一世を風靡した彼が芸名を「サモ・ハン」に改名しての復活である。改名といっても「キンポー」を取っただけだが。

しかしなぜこの期に及んで「キンポー」を取ったのだろう。「サモ・ハン・キンポー」はぼくたちが小さい頃から親しんできた名前である。おそらくデビューから「サモ・ハン」という名だったらすぐには認知されなかっただろう。そしてこの名は彼の風貌、魅力をそのまま表現している。「サモ・ハン」という響きからは俊敏、強靱的、「キンポー」は滑稽さ、柔和なイメージがある。つまり、あの太った体格から醸し出される見た目のおかしさとは対照的に目を見張るアクションを繰り出すことから、この二つが組み合わされることによりお互いのバランスが保たれ、彼のキャラクターが成立できたのである。「キンポー」あっての「サモ・ハン」、「サモ・ハン」あっての「キンポー」なのだ。自分で何が言いたいのかよくわからなくなってきたので本題へ戻そう。

 前述で紹介したとおり、彼はデブゴンで一躍有名になったわけであるがよくよく考えてみたら“デブゴン”なんてセンスのかけらもない何とも失礼なネーミングである。タイトルから察するに元のオリジナルはみなさんもお分かりだと思うがまずそれに対して失礼であるし、しかももじり方ときたらオリジナルの二文字を蔑称の「デブ」に変えただけ。まさに失礼の合わせ技だ。おそらくこれは原題ではなく全くの邦題と思われるので(間違ってたらごめん。)、出演者が日本に来た場合、映画会社の人たちは何と説明したのだろう。記者会見などで通訳さんは臨機応変にそこだけ訳を変えたのだろうか。当時の香港映画界の懐の深さが覗える。また話が横にそれてしまったのでいいかげん本題へ。

 チャン率いる警察の特別捜査班と彼らが追い続ける暗黒街のドン、ポーの死闘を描くアクション映画。そのポーをサモ・ハンが初の悪役ということで貫禄たっぷりに演じているのだが、まず観て驚いたのはかつてみせていたあのアクションのキレがまったく衰えていなかった。主演の刑事ドニー・イェンとの最後の一騎打ちでも充分互角に渡り合え、見応えたっぷりで香港映画ファンは身震いするだろう。それに五十歳を越えて渋みが加わり、アクションなしでも充分いける程の存在感を放っていた。おそるべし、キンポー。ただこの作品、ストーリー展開に少々アラが目立っているのは否めない。最初、お前を守ってやるとチャンに励まされていた若手刑事が、あとで何かの伏線になるのかと思ったらあっさり殺されるし、そのあとも予定調和な感じでいちいち先が読めてしまう。それにどこかで見たような古さを感じさせるなぁと思ったら、『西部警察』にそっくりだった。リーダーのチャンにサングラスをかけたら大門団長そのまんま。なのでまさかバスが爆発したり、戦車が街を走ったりしないかと少々不安になってしまった。

まぁ、とにかくこの作品、アクションシーンだけでも大スクリーンで観る価値は充分にある。まだまだアクションスターとして健在だったサモ・ハンあっぱれということで評価は大おまけの最高点を差し上げたいと思う。

【No.004】SPL  狼よ静かに死ね
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。



Posted by イリー・K at 14:00│Comments(0)【え】
 
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