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2006年10月31日

【No.011】GiNGA

【No.011】GiNGA

●6月17日鑑賞
’05/ブラジル/79分 / カラー/ビスタ 
監督:ハンク・レヴィン 
出演:ロビーニョ 、ファルカン


 いま世間ではどこもかしこもワールドカップ一色になっている。四年前の日韓共催時よりかは同じ盛り上がりでも少々落ち着いたものになるかと思ったら大間違い。まるで熱病に冒されたかのような盛り上がり様だ。

今日テレビをつけたらその日は日本対クロアチア戦があるということで何でか知らんが日本勝利を祈願して女子アナが滝に打たれる荒行をしていた。しばらくはNHKを除く全局でこんなわけのわからない企画を垂れ流すんだろうな。あとここ数日で出演者全員が日本代表のユニフォームを着ている番組をどれだけ見たことか。4年前にも「伊東家の食卓」で同じ光景を見たのを覚えている。そしてこの季節よく見かける顔として忘れてはならないのが川平兄弟だ。兄がフジでああ言えば、弟はテレ朝でこう言う。ああ、耳を塞ぎたくなる。

 そんな中、ここ桜坂劇場ではワールドカップ関連の企画が日夜催されている。そのなかでも注目なのは日本対クロアチア戦をいちばんキャパ数が多いホールAで中継映像を流すという観戦イベント。大丈夫か、桜坂劇場。
 私は日本の勝敗なんかよりも観客が暴徒化しないかどうかが心配だ。けっこう日本各地で暴れてるというニュースを聞いたりするし。この原稿を書いてる時点ではまだ試合直前なのでどうなるかわからないが、場内が修羅場にならないことを祈るばかりだ。

 そんなことはさておき、映画の方でもサッカー映画特集ということで週替わり計4本の作品が上映されているのだが、今日はその尻馬に乗って選んだのがこの『GiNGA(ジンガ)』だ。
 ジンガとはパンフレットの紹介文によるとポルトガル語で「腰を振って歩く様子」を意味し、ブラジル独自の社会的状況を生き抜く上で生まれた言葉や概念とのこと。例えるなら性質は違うが日本人でいう大和魂みたいなものか。
 映画はこのジンガをキーワードにサッカー王国ブラジルの真髄に迫ったドキュメンタリーであるが、早速観てみるとまぁ〜、すごいのなんの。いい意味でブラジルってこんなにもサッカーバカな国なのかと見せつけられた。本作ではプロ、アマ、男女問わず10人のブラジル人が登場するがどれもプレイ中のボールのさばき方が素人目でもハンパじゃなくうまい。ブラジル人は皆、あんなプレイをするのかという錯覚に陥ってしまうくらいだ。昔、ジャッキー・チェンの映画を観て中国人ってみんなあんなケンカをするんだと勘違いした感覚に似ている。似てないか。

 ただあえて文句を言わせてもらえば、一人ひとりの紹介が少々物足りなかった。上映時間78分で10人というのは多すぎじゃないだろうか。「えっ、それで終わり?」というタイミングで次から次へと紹介が移っていくから、皆サッカー好きである事や各々の環境までは分かるのだが、もう一歩先へ踏み込まないためにいまひとつドラマが見えてこなかった。もっとじっくり見せるように最低3人に絞った方がよかったと思う。私個人としては、駐車場のバイトをしながらプロを目指す少年と、片足の少年をもう少し観たかった。まぁ、この作品が各人にじっくり焦点を当てることなどハナから無く、この10人の姿を通してブラジル人の魂(=ジンガ)を描くことを主旨として作られたのであれば、私の意見は全くのお門違いになるのだが。


【No.011】GiNGA
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。



Posted by イリー・K at 09:00│Comments(0)【し】
 
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