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2006年11月11日

【No.017】かもめ食堂

【No.017】かもめ食堂

●7月29日鑑賞
’05/日本/カラー/102分 
監督:荻上直子 
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、マルック・ぺルトラ


 私はいま、浦添市内の某ファミリーレストランに来ている。なぜここにいるのかというと、先ほど観た『かもめ食堂』に登場する豚のしょうが焼きをどうしても食べたくて、それを食しながら今日の原稿を書こうと思い立ったからだ。

 映画を観たのは公開初日の1回目。観終わったあと、ちょうどお昼時だったので劇場1階のカフェで映画公開との連動メニューでこの豚のしょうが焼きを出しているというので真っ先に向かったら、テーブルはすべて満席でやむなく断念。そのあと病院へ不定期検診、犬の散歩、ウインドウショッピングと時間を過ごし、気がつけば夜の11時。この時間開いているのはファミレスということで、今こうして店内の禁煙席に座っているわけだ。しかし、もう夜中12時近いというのに、子供連れやオバサングループが目立つのはどういうことだと、少々憂鬱になりながらもメニューを開く。注文するのは豚のしょうが焼き。豚、豚、豚…な、ない!ファミレスともあろうものがどういうわけだ!品揃えがいいだろうと期待して来たというのに。チーズハンバーグなんて小じゃれたもの出しやがって。仕方がないので和風おろしハンバーグを注文する。

 オーダーした品が来るまで映画の感想を書いておこう。

 本作は北欧フィンランドを舞台に食堂を営む女性と、それに引き寄せられるように食堂を手伝うようになる女性ら3人の日本人の日常を淡々と描いた日本映画。今、東京では女性を中心にロングランヒットを続けているらしく、実際、今日観た劇場でも、この映画の評判を聞きつけてやってきた女性客が多かった。

 この映画を一言でまとめるとしたら「すべてにおいてバランスが絶妙」といえよう。これは褒めるつもりで言っているのではない。内容はこれといって劇的な事件は起こらず、ストーリーの起伏もほとんどない。だから面白くはないし、つまらなくもない、可もなく不可もないという感じ。物語の舞台や役者選びも絶妙だ。これが日本が舞台ならそのまんま普通だし、異国の地に移したとして、イタリアやフランスだったら、如何にもといった感じで垢抜けすぎる。そこでムーミンやサウナと知名度としては微妙なフィンランドにし、そこに日本人3人だけをポツンと置いたら面白いだろうと。その面々が小林聡美、片桐はいり、もたいまさこである。たまらないではないかこのキャスティング。特にもたいまさこなんて本作に与える存在感は抜群だ。ただ食堂の前に突っ立っているだけで、客席ではさざ波のように笑いが起こっていた。今やこんな芸当ができる女優はこの人と樹木希林ぐらいだろう。

 いたってシンプルなストーリーテリングに塩梅がいい舞台や役者選び、アラを探そうしてみても、さして目くじらを立てるほど悪いところもない。そう、言ってみればこれまた本作に登場するおにぎりみたいなものだ。飛び抜けて旨いわけではなく、ただ普通に美味しい。これにわざわざマズいと怒る人はいない。そんな味わいを持った映画である。

 あっ、そうだ、おにぎりを注文しよう。(再びメニューを開き)おにぎり、おにぎり、…な、ないっ!!同じ飯ものでもジャンバラヤがあるがそんな気分ではない。また仕方なしにパン&スープセットをたのむ。あぁ、希望の品にありつけない、只、むなしいかぎりの週末だ。


【No.017】かもめ食堂
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。



Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)【か】
 
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