2006年11月15日
【No.021】ディセント

●8月19日鑑賞
’05/イギリス/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR/98分
監督:ニール・マーシャル
出演:シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ
さぁ、今週はヨーロッパ各地で大ヒットを記録したと評判のホラー映画『ディセント』である。今日連載21回目にして意外にもホラー映画は初。いろんなジャンルに手を付けたと思っていた私はいささかおどろいた。
で、この『ディセント』であるが、観ててひとつ気づいたことがある。それは「私にはホラーは向いてないんじゃないか。」ということだ。今まで散々いろんな映画を観てきて何をいまさらという声が聞こえてきそうだが、こんな私でも小学生時代、ホラー映画は大好きだった。特に『死霊のはらわた』や『13日の金曜日』シリーズに代表されるスプラッター(血しぶき)系は好んで観ており、よく目を潰されるゾンビの絵などを描いたりしていた。(今考えるとなんと悪趣味な子供だろう。)この映画でもそんなスプラッター描写が登場するが、歳を重ねて品格などが付いてしまったのか、スクリーンから目を逸らしてしまう自分がいた。それにホラー映画など見尽くしたと自負し、全然怖かぁねぇよと無意識のうちに強気になっているのか、その反動でいざ怖がったりすると、「あんだよぉぉっ!」とイライラ感が募ってしまうのである。だからラスト、すっきりした終わり方をしないと満足できなくなってしまった。本作も何だソレという曖昧なエンディングで消化不良気味になったし、これはちょっと余談だが、この間観た『サイレントヒル』もただ気味悪いだけで、観る側に想像を訴えかけるような妙な終わり方でイラッとしたなぁ。
ストーリーはざっくり言ってしまえば、バカ女ども六人が冒険旅行と称してわざわざ奥深い洞窟へ行って大騒ぎするだけの映画である。
日本ではどうだか知らないが、海外では洞窟探検をケイビングといって立派なレジャーとして定着しているらしいが、それでもあんなトコ行って何が楽しいのかと呆れてしまい、こいつらが何かアクシデントに遭うたびに「死にぁいいのに。」とつぶやいていた。
この映画のチラシには、洞窟で遭遇する人類未体験の新しい恐怖という宣伝文句が打たれている。しかしこの映画にはそんな真新しい恐怖など、どこにも見当たらない。6人の女が洞窟で遭遇する“新しい恐怖”とは一体何なのか。
この先はネタバレで、未見の方はここで読むのを控えてもらいたいが、物語の中盤から地底人が現れるのである。それもほとんど毛が無い地底人。(メスだけはロングヘアーだった。)肉食で盲目らしく、獲物となった彼女らに襲いかかってくるこの地底人たちと洞窟の中で死闘が繰り広げられるのだ。
“異空間の中で未知の生物に遭遇し、対峙する”というシチュエーションは『エイリアン』しかり、『遊星からの物体X』しかりと、今まで散々使い古されたパターンである。こんな陳腐な内容に?新しい恐怖?と紹介された日にゃ、“新しい恐怖”が泣くというものだ。
ここまで容赦なくこき下ろしてきたが、この映画、そんなに捨てたものではない。
劇中のほとんどは洞窟だけあって真っ暗闇。映画はこの真っ暗闇という状況を恐怖感を煽る作用に非常に効果を上げている。怖がらせ所もきちんとツボ、ツボと押さえていてなかなか良く出来ている。
そういった意味でこのテの映画に諸手を挙げて喜ぶような観客には満足できる1本ではないだろうか。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)
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