2006年11月24日
【No.030】フーリガン

●10月21日鑑賞
’05/アメリカ、イギリス/カラー/109分
監督:レクシー・アレキサンダー
出演:イライジャ・ウッド、チャーリー・ハナム
しょっぱなからこういう話題を持ちかけると、非県民のレッテルを貼られるようで少々気が引けるが、やっぱり言っておこう。
入ってるらしいなぁ。『涙そうそう』。映画館じゃもう観客が引きも切らない状態。もうすでにご覧になっていて、この頁をめくっている方もいることでしょう。以前本誌でヨガのワークショップ頁を担当していた不叶ミエコ女史もご覧になったらしく、「ほんとに『涙そうそう』だったよ〜。」と熱っぽく語っていた。とにかく涙を流さずにはいられないと評判のこの映画。露骨な言い方になってしまうが、私はコレにはどうも金の匂いがプンプンしちゃってしょうがない。沖縄がただのダシに使われてるようでいけ好かないのである。腹違いの兄と妹、互いに抱く兄妹愛を描いているのはいいが、舞台が沖縄である必要性がどこにあるのか。描くテーマと舞台の地域性との相性というのはあるかもしれないが、あんな内容なら別にどこだって変わりはないだろう。やはり沖縄にしたのは昨今のブームにあやかっての決定なんだろうな。それに加えて、今や押しも押されぬ人気の妻夫木聡と長澤まさみを主役に据えて方言喋らせりゃ、若い沖縄県民のハートをガッチリ掴むのは間違いないだろう。これなら制作したTBSはウハウハだ。
コレに限らずここ最近は無意味に沖縄を舞台にする映画が増えているように思う。『チェケラッチョ!!』なんかは噴飯モノだろう。そういえばコレはフジテレビが作ってたな。今やいろんな企業が沖縄にやってきて商売を繰り広げるなか、とうとう映画という媒体を使ってまで触手を伸ばす時代になったのか。沖縄もナメられたもんだ。
映画観てから文句言えとお叱りが飛んできそうだが、たとえどんなにいい作品であろうと私は『涙そうそう』を観るつもりは毛頭ない。脅迫されても決して観ない。たとえ、暗い夜道を歩いていて、背後から黒服の男たちに襲われた上、羽交い締めにされて、バケツいっぱいに入ったなめこを見せつけ、「観ねぇとぶっかけるぞ!」と強要されても断固拒否する。なめこまみれになっても絶対観ねーからな!
もうこのまんま1頁書きトバそうかとも思ったが皆さんご心配なく。本日もちゃんと作品をご用意してございます。
今日の作品は『フーリガン』。タイトルはその名の通り、サッカーの試合会場やその周辺でたむろしているあのフーリガンである。ワールドカップ開催時期には必ずニュースなどに登場してもうおなじみだろう。こういうメディアで取り沙汰されているものを映画にするのは珍しいが(他に思い出したのは『パパラッチ』)、前に予告編で観た時、一連の報道で我々の頭に刷り込まれた「フーリガン観」を覆すような内容だと思っていた。でも実際観てみたら全然そんなことはなかった。イメージそのまんま。冒頭から終わりまで引っ切り無しに乱闘シーンが出てくるが、これほど暴力がまぬけにしか見えない映画もない。意味ないただのケンカばかり。暴力というのはそこに至る何かしらの理由があってこそドラマとして昇華するのに、理由も何もあったもんじゃないからドラマになりようがない。そこにはまぬけしか残らない。しかも画づらとして結構カッコ良く撮ってるもんだから、余計まぬけだ。
唯一イメージと違ってた点は、こんな事やっといてコイツら、ちゃんと定職についてやんの。「暴力だけが俺たちのアイデンティティ!(チラシより抜粋)」とヌカすんなら、仕事にアイデンティティ見出せよ。それが社会人っつーもんだろうが。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)
│【ふ】