2006年11月25日
【No.031】LOFT

●10月28日鑑賞
’05/日本/カラー/115分
監督:黒沢清
出演:中谷美紀、豊川悦司、西島秀俊、安達祐実
へぇ〜、このコーナーってもう30回以上もやってんだぁ。内容スカスカなのによく続いてんなぁ。と、他人事のようにつぶやいてみたが、物書きとしてはド素人の私が始めた当コラムが先週まさかの30回突破である。
これに驚いてる人はどこを見渡しても私だけなんだが、振り返れば、映画監督にインタビューしたり、たった1枚の批判のおハガキにヘコんだりといろいろあった。鑑賞中、下痢に苦しめられて作品の感想には一切触れなかった回もあったっけ。右も左もわからないままの手探り状態で開始し、31回目を迎えた今、いまだ手探り。一体このまんまこのコーナーはどこへ向かうのか、私自身、皆目見当がつかない。舵がない船に乗って、あても無く大海原を彷徨ってる感じだ。果たしてこの船がこれからどんな荒波に揉まれるのか、はたまた即打ち切りの港に辿り着くのか。このたとえ話、このまま進めたら、うまくまとめられそうにないので前置きはこれくらいにしておこう。
気を取り直して、今週も私は映画を観てきたわけであるが、いやはや、どうにもこうにも何という代物なんだこの『LOFT』っつーのは。監督は海外の映画祭で数々の作品が出品され、高い評価を受けている黒沢清。その作品群にはおおかたホラーが多く、そういった色が強い映像作家である。
『ドレミファ娘の血は騒ぐ』など初期作品から89年、プロデューサーの伊丹十三と揉めた末に失敗作となった『スウィートホーム』を撮ったあと、しばらく映画から遠ざかり、『勝手にしやがれ!!』シリーズなどのVシネマを作り続けた時期を経て、97年、久々の長編映画『CURE』で一躍注目され、以後は多くの作品を世に送り出している。
こうして黒沢清の略歴を延々書いておいて白状するが、私はこの黒沢清の作品がどうも苦手だ。いや、最初からそうだったわけではないのだが、作品を撮るごとに難解になり、「このストーリーから何かを汲み取れ」と言わんばかりの一人よがりな姿勢に閉口していったのである。前出の『CURE』は人間の潜在意識を利用して殺人を犯す恐怖を巧みに描き、特にあっけない殺戮のシーンには新鮮さを覚えて面白かったが、次に撮ったヒューマンドラマ『ニンゲン合格』も面白いとまではいかないまでも、それなりに良かったが、『カリスマ』あたりから「?」となり、『回路』に至っては「もういいよ」とこの人の作品は観ないと心に決めていた。しかし今回、その禁を犯して『LOFT』の鑑賞に臨んだが、結局観た感想としては、今までの例に漏れず、「言わずもがな」であった。もうわかんないんだよ、正直いって。いつもの4段階評価に新しく「わからない」を追加しようかと思ったくらいのわからなさだ。
どんな映画かというと簡単に言えば「ミイラ」の映画。洋画では古典的といっていいこの題材が邦画に登場するのは珍しい。エジプトのミイラが日本に運ばれて云々というのではなく、日本古来の保存方法で千年間眠り続けたミイラを巡る物語である。これがどのような結末に転がっていくのか見守っていたらいつしか「わからない」迷宮に迷い込んでしまった。そんな映画である。 あまりに身も蓋もない感想に何かすっきりしない残尿感(肉体的にではなく精神的な意味で)に襲われた方は多いでしょう。観た私はそれ以上だ。ほんとにわかんなかったんだもんコレ。でもDVDが出てもう一回見直したら、気づかなかった部分やいろいろ新しい発見があって、物語の輪郭が少しでも見えてくるかもしれない。でも見直すつもりはさらさらねぇけど。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)
│【ろ】