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2007年02月17日

【No.042】真昼ノ星空

【No.042】真昼ノ星空

●1月6日鑑賞
’04/日本/カラー/92分
監督:中川陽介
出演:鈴木京香、ワン・リーホン、香椎由宇



 本誌創刊と同時に始まったこのコーナーも今月末でいよいよ丸一周年を迎える。いろいろ四苦八苦してコラムを書き続けたというのもあるが、それと併せて本コーナーのイラストも兼任して描き続けて来た。

イラストを描く上で何より第一に心掛けているのは「似せること」である。私が描く絵は正直いって見た物を己の感覚でねじ曲げ、アレンジ等を加えて描くといったオリジナリティなど皆無のつまらないただの「模写」である。「模写」だから似せる他ないのだ。そこで今日描いたイラストにある中央の女性は誰あろう鈴木京香である。どうだ、似てないだろう。

 いや、似せようとはしたんですよ。顔の輪郭から目鼻立ち、眉やぷっくりした唇の形まで細部にわたって忠実に描き込んでもうまくいかず、原画の線画をパソコンに取り込み、イラストレーター上でも可能な限り顔のパーツを微妙にズラしたりしていろいろ手を尽くしたが結局この有様。ま、どんなに弁解しても読者に描き手の苦労など伝わるまい。

 しかし鈴木京香ってどうしてこう描きにくい顔立ちなんだろうか。前にも『男はソレを我慢できない』の回では倍賞美津子になっちゃってたし(No.23参照)。煎じ詰めて考えてみるに、隣りの香椎由宇のように「瞳が大きい」といったポイントやひとつでも大きなシワなどがあるか否かで似顔絵としての出来が決まるものだが、鈴木京香のようなのっぺり美人の場合、彫りがさほど深くなく、顔のパーツにそれぞれ均整がとれているため、突き出たポイントが見当たらない。その上肌が色白だからあんまり目立ったシワがない。つまり似せるための「指標」がないのである。まさに描き手泣かせ。これと同類の顔立ちである松雪泰子も『フラガール』の回では見事に似ていなかった(No.28参照)
 毎回こうしていつまでも本題に入らずダラダラ書いてたら「いつまでもヨタ飛ばしてんじゃねぇ!」というお叱りの便りが来そうである。もし、腹に据えかねてどうにもならなくなった方はお便りください。イラストの原画をお送りします。

 さて、最近乱発の感がある沖縄が舞台の映画だが、この『真昼ノ星空』もこの類に属する作品である。しかしこの映画、私が毛嫌いしている『涙そうそう』のようにこれみよがしにオキナワ的なもの(海や瓦屋根の家など)が出てこない。強いて挙げるなら鈴木京香が働いている弁当屋周辺の市場と?味くーたー?弁当くらいか。なら別に舞台を沖縄にする必要がないように思えるが、この作品が必要としたのはそんな物質的なものではなく、沖縄ならではの開放感あふれるゆったりとした空気である。それが起伏がなく単調なストーリーと融合してすんなり観られる。

 そして主演の鈴木京香。世の中年男らを骨抜きにする魅力を持つといった意味では盤石の域に入ったといっていい女優である。そんな彼女が劇中で演じる主人公の色気たるや、物語の世界観と相まって大爆発である。部屋でうたた寝している姿から匂いたつ艶かしさに「30(歳)過ぎた人もいいな」と思ったもんだよ私は。

 と、思わずオヤジくさいことを述べてしまったが、この映画、単調な分不可解な部分に目が行ったりもするが(鈴木京香演じる主人公が一人沖縄に住みついた経緯が謎とか、台湾人の殺し屋が潜伏している身なのに優雅な生活をしているとか)観る人の気を障るような作りにはなっていないので、一服の清涼剤を飲むような感覚で観るのがよかろう。


【No.042】真昼ノ星空
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。



Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)【ま】
 
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