2007年04月07日
【No.048】パビリオン山椒魚

●2月24日鑑賞
’06/日本/カラー/98分
監督・脚本:冨永昌敬
出演:オダギリジョー、香椎由宇、高田純次、麻生祐未、光石研、KIKI
先週、本誌にこのコーナーがなくて「おや?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。逆にこの頁に目を留めないので気づかなかった方もいらっしゃるでしょうが、別に持病の痔が悪化して休載したとかではもちろんありません。これで休めるならいくらでも痔を患いたいものですが、遅ればせながらここでお知らせを。
県内のごく一部の方々からご愛顧頂いていたこのコーナーが隔週の掲載になりました。毎週コンスタントに映画を観てコラムを書くという生活ペースが今年に入ってから私の中で疲弊感が増し、次第に書ける余裕が持てなくなりました。それがここ最近文面にも表れるようになり、手間ひまかけて書いたつもりでも読み返してみると我ながらヒドいものばかりです。先日行った本誌の読者アンケートでは「まじめにやれ」という貴重なご意見をいただきました。「いくらでも痔を患いたい」なんてことを書くから、こういう投書がきて当然でしょう。こういった反省を踏まえ、作品選びを慎重に絞り込み、読者に手に取るように伝わる表現の幅を広げるため、このような形をとらせていただいた次第です。
以上の諸事情をふまえた上で読者の皆様にはご容赦いただき、これからも引き続きご愛顧賜りますよう宜しくお願い致します。
ふぅ〜、堅苦しい挨拶はこれくらいにして評論へ行こっか。
隔週化一発目の作品は『パビリオン山椒魚』。20世紀初頭に開催されたパリ万博に出品された経緯を持つオオサンショウウオ「キンジロー」。動物国宝に指定され、150才になるこのキンジローを巡る物語のこの映画は堂々と「デタラメだが深い愛の物語」と謳い上げている。?これ以上ないほどの愛を描いているがデタラメな映画である?ことを自ら認めているのである。まぁ、映画なんて大ざっぱに見ればみんなデタラメなものであるが、本作の場合はデタラメにも程がある。シリアスな役が続いたオダギリジョーの珍しくふっ切れた演技が見られるし、ジャズをBGMに使ったりしてチャラチャラしていないし、雰囲気としては好きなのだが、このデタラメさ加減には遠くに及ばない。キンジローがどれほどの価値を持っているのかわからないし、扱い方が庭園の池で飼われていて厳重な警備もされておらず、とても動物国宝とは思えない。描くべきところを描かないいい加減さを?デタラメ?と変換してあんな謳い文句にしているのか。そう考えるとかなりの開き直りだ。
しかし私がこの映画に期待したのは実は別のところにあった。高田純次である。
現代にこれほどデタラメに生きている人(芸能人)はそうはいない。今年還暦を迎え、そのデタラメさは勢いを増すばかりである。ブラウン管で例のノリで振る舞う彼を見るといつも「元気が出るテレビ!!」の名作「清川虹子さん、自称3千万円の指輪を見せてください」を思い出す。清川の自宅を訪れた高田を出迎えた彼女に開口一番「今年成人式を迎える清川さんですか?」の一言から始まり無礼千万な振る舞いを展開。ようやく現れた指輪を手にした高田は匂いを嗅いでそのまま自分の口の中へ。慌てた清川からビンタの応酬を浴びるあの表情は今でも忘れられない。バラエティだけでは収まらないデタラメさが映画で遺憾なく発揮されているであろうと観たらただのオヤジだったのでとんだ肩すかしであった。
こんなにいい素材を得ながら、台無しにしてしまったこの映画。何とも勿体ない逸品である。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 12:00│Comments(2)
│【は】
この記事へのコメント
ときどき拝見させて頂いております。
ボン桜坂さんのどうでもいい話が好きです。
映画評論も別の意味で感動しています・・
そして共感しています。
今回は高田純次の話に共感しました。
隔週になってこれからは、余裕を持って
お仕事が出来るということで、ヘンテココラム(すみません・・)さらに頑張ってください。
Posted by みどり子 at 2007年04月18日 12:37
みどり子様
コメントありがとうございます。
ブログを開いて半年経ちましたが、
相変わらずのアクセス数の低さと反響の無さに「そろそろやめようか」という気分の芽が芽生えてました。
このようなコメントをひさびさに頂き、励みになりましたので、もう少し続けてみようかとやる気がでました。「どうでもいい話」はここでも書きますので、たまにはのぞきに来てください。
Posted by ボン桜板 at 2007年04月18日 13:04