2008年03月31日
【No.078】魁!! 男塾

’07/日本/カラー/110分
監督:坂口拓
出演:坂口拓、昭英、山田新太郎、尾上寛之、与座嘉秋
今日はしょっぱなからひとつ告白しておきたいことがある。かつて週刊少年ジャンプで連載していた「魁!!男塾」。恥ずかしいことに私はこの漫画の原作者である宮下あきらをどういうわけか本宮ひろ志と勘違いしていた。映画版のチラシで知り、長年そうであると思い込んできただけに自分自身に愕然としたものである。
宮下あきら(「魁!!男塾」)と本宮ひろ志(「俺の空」「サラリーマン金太郎」)。両者の漫画を読んだことがないのでイメージだけで言うのだが、何か似てやしないか?名前とかも含めて。どっちも特にこれといった思い入れがなかったもんだから、そのそっくり具合から本宮ひろ志の名前が勝っちゃって(何でかは知らん)いつからか作者と作品がごっちゃになったようである。人間の記憶の曖昧さに驚嘆しながらも、宮下あきら先生には心から深くお詫び申し上げます。
ご本人に届くわけがない謝罪をしたところで映画版『魁!!男塾』の感想に移ろう。
先述のとおり、読みもしなかった同名漫画の実写映画をなぜ選んだのか。今まで欠かさず当コラムを読まれた方はおわかりだろう。『変態村』『ヅラ刑事』『プレスリーVSミイラ男』その他諸々、珍作の類があれば片っ端から貪り続けてきたこの私である。黙って見逃すわけにはいくまい。
しかしここまで珍作の「自覚」があったら、あれこれ難癖をつけるのは野暮というものだ。私もちょっとは大人になったということでしょうか。そんな感情に掻き立てられるほどキラ星のごとく現れるツッコミどころの数々。
剣桃太郎と宿敵が決闘で相まみえるなか、仲間の塾生たちは遠く山奥にこもって応援(そばでやりゃいいものをなぜそんな回りくどいマネを)。
全国の不良たちが集う男塾。塾生に混じってた白髪まじりのオッサン(いつまでグレてんだ。エキストラ不足によるスタッフからの補強かも)。
日本の要人を多数輩出している男塾。授業で教えているのはかけ算九九(何事も基本は大事。でも九九から始めるっていうのは・・・)。
そして最後の最後では暴力的ともいえる強引さで度肝を抜かれ、ツッこむ気力をねじ伏せてくれる。
「わかってねぇなぁ。それこそが男塾の良さなんじゃないか」と本作を観た愛読者は言うかどうかわからないが、一本の映画として観ている私には果たしてこれらが原作に忠実になぞったディティールなのか、単に映画版として発展させたギャグ(?)なのか判別つかない。まぁ、どちらにしても珍作の「自覚」がある何よりの証拠だろう。
原作に忠実ということでひとつだけこれはと思ったのは、登場する主要人物の半数以上がやたら血を吐いている。多分原作では、何かしら試練としての「壁」にぶつかったとき、それに伴う苦痛の?印?を「血を吐く」ことで表しているんだろう。映画では教官からの体罰や宿敵との決闘はおろか、あらん限りの声を振り絞る応援や、巨大な応援旗を持ち上げる時も吐いていた。ああ、血糊が目にしみるようだ。
残りの人生、私はこの映画を「ツッコミどころ満載の珍作」ではなく「稀にみる吐血映画」として記憶されることだろう。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。
Posted by イリー・K at 12:00│Comments(0)
│【さ】