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2010年01月01日

【No.090】NEXT -ネクスト-

【No.090】NEXT -ネクスト-
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’08/アメリカ/カラー/96分
監督:リー・タマホリ
出演:ニコラス・ケイジ、ジュリアン・ムーア、ジェシカ・ビール、トーマス・クレッチマン




 今日は『イングロリアス・バスターズ』の紹介でもと考えていたのだが、たまたまCSで流れていたある映画を見てみたら、近年稀にみる愚作っぷりに筆を執らざるを得なくなったので急遽予定変更。その映画とは一昨年公開されたニコラス・ケイジ主演のSF映画『NEXT−ネクスト−』である。

 2分先の未来を予知できるという特殊な能力を持っているが故にFBIに目を付けられひたすら逃げる主人公をニコラスが演じている。この男を追い続けるFBIの目的は、あるテロ組織から核兵器を使用したテロ遂行の予告を受け、それを阻止すべくこの男の能力を利用したいのである。で、結局男は捕まり、FBIに力を貸して共にテロ組織の動きを追っていく。この筋書きはSF映画ならではという感じで大いに期待が持てる。公開当時に観た予告編は観て損はなさそうかなと思わせる佇まいだった。ところがいざフタを開けてみたら、何とも中途半端な代物だったのである。観客をナメてるのかと書き進めている筆が震えるくらいの中途半端さだ。実際はパソコン打ちだけど。

 FBIを仕切る女性捜査官をジュリアン・ムーアが演じているが、この女がいかにもハリウッド映画(限定)が描きそうなステレオタイプな役柄である。仕事一本筋に生きる女性、「デキる女」とでも言ったらいいのだろうか。基本はため口で見透かすような物の言い方をし、人には高圧的に接近する。FBIに限らず、この手の女性はハリウッド映画で頻繁に見かける。数十年前、ウーマンリウ゛が台頭し、それに呼応するかのように「キャリアウーマン」なるものが映画の中に出てきて「強い女性像」が確立してきて、『羊たちの沈黙』あたりでスタンダード化した感じである。あ、『羊たちの沈黙』といえば、続編でクラリス(主役のFBI捜査官)やってたのはジュリアン・ムーアだったな。『NEXT−ネクスト−』と全く一緒じゃねーか。

 あと、主人公は予知能力を駆使し頭の中でシュミレーションし、2分先に待ち受ける危険を回避したり、自分に都合の良い選択肢を見つけたりするのだが、そんな頭の中で働くシュミレーションを「もし、こうしたらこうなる。ああしたら、ああなる。」といった感じの映像展開でテンポよく見せてはいるが、これは「ある話の部分から進んできたところまでは実は(映画の中では)現実ではなく、それがわかった時点で元の部分に引き戻される」という現象を生み出す。そういった意味では「夢オチ」と変わらないのではないか。それをするなんざぁ御法度と我々観客もすでに気付いている「夢オチ」なんていう処理法を「予知能力」に鞍替えしてアレンジ加えるとは大したものである。結局失敗してるんだけど。

 最後に余談だが、冒頭で主人公が逃げ込んできたアジト(らしきところ)の住人のピーター・フォーク。「刑事コロンボ」の人だ。この人もストーリーに大いに絡んでいくのかなと思ってたら、そのあとの出番が一切なかった。あんなの名優をあんな所で中途半端に扱った意図はなんだ。これもまた中途半端。


【No.090】NEXT -ネクスト-
ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。


Posted by イリー・K at 03:00│Comments(2)【ね】
この記事へのコメント
おおっ!新年早々に更新とは!
今年はやる気十分ですね。
そして、ニコラスケイジの作品を「クズ」にする
辛口評価。こういうのを待ってました。
楽しみにしています。

あ、ボンさん明けましておめでとうございます。
Posted by TVA at 2010年01月01日 13:54
TVA様

明けましておめでとうございます。
更新しなきゃと焦ってるうちにいつの間にか
新年を迎えておりました。
3週ぶりですからズボラもいいとこですね。

新シリーズになってから褒めてばっかなんで
メリハリとしてあえて辛口にさせていただきました
Posted by ボン桜板【ぼん・さくらいた】ボン桜板【ぼん・さくらいた】 at 2010年01月01日 21:37
 
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