2009年11月10日
【No.087】レスラー

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’08/アメリカ=フランス/カラー/109分
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク 、 マリサ・トメイ 、 エヴァン・レイチェル・ウッド
今日紹介する『レスラー』は、人気はとうに過ぎた中年プロレスラーの悲哀に満ちた生き様を描いたヒューマンドラマである。
地方巡業で得た安いギャラで細々とした毎日を送る主人公は、筋肉増強剤の服用による体の変調でドクターストップを言い渡されてしまう。本業を辞めざるを得なくなり、仕方なく始めたバイトは長続きせず、荒れた生活のおかげで最愛の娘には見放され、惚れたストリッパーに接近しようにもいまひとつうまくいかない。心身ともに傷ついた主人公は、その体をひきずって最後は再びリングに帰っていく。
敵にぶつかり戦う勇姿を見せても、ひとたびリングを降りれば何もかも不器用な主人公には胸をしめつけるものがあった。
その主人公を演じていたのは、今はなつかしきミッキー・ローク。80年代に色男(これってもう死語かね?)をよく演じた俳優の代表格であった。それが92年、例のボクシングの一戦でそれまでのイメージすべてを吹き飛ばしてしまったのはあまりにも有名。ミッキー・ロークと聞いて8割の人が連想するのは「色男」よりも「猫パンチ」だろう。これを境に、我々の前からフェイドアウトしてから10年の月日が流れた(といっても、このあいだにも映画には出てたんだけど)。そうして見ない間にあんなことになっちゃっていたのである。顔かたちがかつての「色男」全盛期を誇っていた頃など見る影もない。“年輪”とは思えない不自然な凹凸。「整形」などとささやかれ、真偽は定かではないが、顔の表面がまるで半透明のビニールマスクをかぶっているかのような質感なのである(ひと昔前によく見かけたレーガン元大統領のマスクみたいな感じ)。「色男」全盛期から「猫パンチ」没落期へ一気に転換したあの痛々しさがあの変わり果てた顔でさらに輪をかけてしまった。
そう、1時間49分間、延々私の胸をしめつけていたのはあの痛々しさかもしれない。そしてそれが主人公の役柄に見事に結実して作品に大いに貢献している。公で言われている「本作で完全復活」などといった声や賞賛は別として、とりあえず本作の主人公にミッキー・ロークというのは最高の適役といえる。

ボン評価は…
☆ おもしろい ○まあまあ △つまらない ×クズ
の4段階評価です。


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Posted by イリー・K at 22:00│Comments(0)
│【れ】